この1週間、雨模様の日が続いたこともありますが、ちょっと不快なことがいくつかあって、悶々としていました。まあ、そんなこともあるものです。
このところ、JICA案件でのインドネシアの皆さんの招聘などに関連して、日本語からインドネシア語に訳された資料の翻訳チェックをするという仕事がありました。それも、招聘プログラムが始まる前、プレゼン資料8本(1資料には15本前後のスライド)のインドネシア語訳をチェックする、それも超特急の2日間で、といった話です。
資料が全部テキスト形式なら楽なのですが、地方自治体のプレゼン資料なので、画像形式が満載。グラフィックや図表も画像だったりすると、そこにある日本語の一つ一つに、テキストボックスを貼り付けていく作業を延々行うことになります。
テキストボックス内はあらかじめ地の色に合った色で塗りつつ、下の日本語文字が見えないように隠さなければなりません。地方自治体のプレゼン資料は字が細かく、プレゼン資料なのに平気で4ポイントとか5ポイントとかいう小さい文字が画像として貼り付けられていたりします。
これらを根気よく進める作業をわずか2日で終わらせるのは、けっこうしんどいです。しかも、今回のは、訳が誤っているものがあり、全部翻訳し直しというのも含まれていました。2日間、朝から夜中まで集中して、何とか締め切りまでに間に合わせられましたが、疲労困憊、ヘトヘトで食事もとらずに眠ってしまいました。
でも、依頼主は、どんなに面倒で骨の折れる作業かは分からないことでしょう。だって、自分でやったことのない人には分からないものだからです。今回のも、下手をすると、タダ働きになるところでした。皆さんだったら、このような手の込んだ作業に報酬をいくら払いますか。
問題は、それを約束通り、期限を守ってやってしまったこと。「ほう、できるじゃないか」ということになって、もっと厳しい条件で仕事が降ってくる可能性もありえます。
誰でもはできない仕事の多くが、誰でもできる仕事と同じように扱われているのではないか、そんな気がします。
この仕事が終わった後、JICA案件とは別の仕事で、同じようにプレゼン資料の日本語からインドネシア語への翻訳を依頼されました。これもやはり、画像形式の部分がかなりあり、細かなテキストボックス貼りを続けました。
報酬を受け取る段になって、突然、別のプレゼン資料の翻訳が追加されました。そして、私がやるかどうかの返事をする前に、この別の追加分も含んだ報酬が一方的に銀行口座へ振り込まれてしまいました。こうなると、「やらない」とは言わせない、と強制された気分になり、依頼主に強く抗議しました。
「こんなやり方でビジネスをしているのか」と問いただすと、今回が初めてだと言います。本当かなあ。「このぐらいなら嫌とは言わないだろう」と、私のことを甘く見ていたに違いありません。この依頼主には、これまで色々と親切にしてきたのですが、それが甘く見られる要因になったのだと思います。
結局、この追加分も仕上げて納品しましたが、この依頼主との関係は今後、再検討しなければならないと思うに至りました。
インドネシアに関する情報が欲しい、といってくる人はいますが、その多くがタダで情報を取ろうとしてきます。そうした方の多くはタダで情報をもらえてラッキー、と思っていることでしょう。経費節約の折り、そのようなやり方を奨励する企業も少なくないかもしれません。
通訳や翻訳などの作業に対してもそうです。通訳や翻訳をどこか一段下に見ている、そんな印象を受けることもあります。何というか、相手に対する尊敬の気持ちを持っているようには見受けられないのです。
通訳や翻訳については、原則として私は請け負いません。なぜならば、専門の通訳者や翻訳者がおり、彼らがプロフェショナルとしてやるべき仕事だからです。私自身、通訳や翻訳の技術を学んだことはなく、彼らの領分に分け入るつもりはありません。
しかし、前述のように、2日間で膨大な量の作業をどうしても済ませなければならない、予算の都合で外部にはどうしても頼めない、といったのっぴきならない諸事情があれば、引き受けざるをえないと感じます。それでも、依頼主から感謝の気持ちを受けることは稀です。
一人のプロフェショナルとして活動している以上、便利屋にはなりません。こちらが親切にしているのをいいことに、タダで情報が取れてラッキー、ささっと作業終わらせてくれてラッキー、と軽く思うような方々とは、仕事を一緒にするつもりもありません。こうやって、少しずつ、自分がすべき仕事、自分でなければできない仕事の比重を高め、仕事と成果の価値を高めていきたいと思うのでした。
愚痴ってしまいました。ふー。
それにしても、福島市の老舗・喜多屋さんのそばはずっと昔から美味しい!(本文とは何の関係もありません。悪しからず)
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