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2016年11月29日火曜日

シンガポールのニューウォーター(新生水)

11月26日、ジョグジャカルタから帰国する前に、久々にシンガポールに寄りました。お目当ては、もちろん食べ歩きなのですが、それ以外に、在シンガポールの友人が面白いところに連れて行ってくれました。

それは、シンガポール・ニューウォーター・ビジターセンター。シンガポールの水道公社が行っているニューウォーター(新生水)を一般向けに紹介する施設です。

このニューウォーターというのは、一言で言えば、リサイクル水のことです。シンガポールが水を確保する方法は、(1) マレーシアから買う、(2) 雨水などをため池に貯める、の他に、(3) ニューウォーター(リサイクル水)を生産する、があります。

ニューウォーターは、下水をろ過し、殺菌し、蛇口からそのまま飲める状態にして、浄水へ還元する水です。ビジターセンターでは、その工程を学ぶことができます。

そこでは、まず、下水をマイクロフィルターでろ過、次に逆浸透膜(RO膜)を通して水に含まれる不純物を取り除き、最後に紫外線消毒をすることで、ピュアな水を生産できる、ということのようです。

ニューウォーター自体の研究は1970年代から行われていたようですが、コストと信用性の問題から実用できずにいたのが、1998年に生産体制が確立し、2000年に最初のニューウォーター生産プラントが完成、2001年から供給が始まり、現在では、シンガポールの水供給の30%をニューウォーターが占めるまでになったということです。

実際、ビジターセンターでは、ペットボトルに入ったニューウォーターを飲むことができ、もちろんしっかり飲みました。クセのない美味しい普通の水でした。

ペットボトル入りのニューウォーターは、実際に市中で販売を試みたらしいのですが、あまり売れなかったということです。もともとが下水なので、人々が気持ち悪がって飲まなかったのだと想像します。

今のところ、ニューウォーターは産業用として主に使われていますが、渇水時には、通常のため池からの水と混ぜて飲用にも使われています。

シンガポールは、自然の水源を持たない国です。マレーシアからの水の購入は2061年まで契約がありますが、そのマレーシア自体が水供給が不足気味と聞きます。こうした事態を見越して、シンガポールはニューウォーターの開発を進め、今では、ニューウォーター生産プラントが4箇所稼働しており、マレーシアとの契約が切れる1年前の2060年に、ニューウォーターの比率を水供給の55%にまで引き上げる計画です。

アジア有数の高所得国となったシンガポールの重要な懸案の一つが水問題であり、それを克服するために、ニューウォーターの開発を進めてきたことに、先見の明を感じます。

もっとも、シンガポールの250万人という人口規模とその集中具合が、高コストのニューウォーター開発を可能にする要素の一つで、どんな国でもニューウォーター開発が有効という訳にはならないことも事実だと思います。

このビジターセンターは、チャンギ空港のすぐそばにあります。センターでは1日に4回の無料ツアー(所要約45分)を行なっていて、誰でも気軽にネットで申し込むことができます。ツアーでは、「シャワーの時間を1分減らすとこんなに水の量を減らせる」といった水の使用量を節約させる教育的機能も果たしています。

このような政府施設をオープンにし、ネットで申し込める見学ツアーなどを通じて、積極的に住民へ説明し、節水意識を広めていくといった活動は、日本の行政機関などももっと学べるのではないかという気がしました。

こんな、一味違ったシンガポールに出会うのもいいのではないでしょうか。

The NEWater Visitor Centre
20 Koh Sek Lim Road, Singapore 486593
E-mail: pub_newatervc@pub.gov.sg
Phone: 6546 7874

見学ツアーの予約はこちらから。
https://app.pub.gov.sg/newatertour/Pages/default.aspx

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