2020年9月8日火曜日

よりどりインドネシア第77号発行、久々に2本投稿

インドネシアのクラフトワークをめぐる新しい動き

いくつかのウェビナーに参加してみての感想


昨日(9/7)夜遅く、日本時間午後11時半すぎに、情報マガジン「よりどりインドネシア」第77号を発行しました。昨日は、昼頃から籠って、ずっと自分の原稿執筆、編集、アップロード、発行の作業を休憩なしで続けていたので、さすがに今日は疲れが出ました。やっぱり、歳はとっているのかな。

今回は、久々に2本書きました。1本目の「モフタル事件」の原稿は、9月6日中に8割書き、7日は最後の結論部分の書き直しと内容補充、写真挿入を行いました。それが終わった後、2本目の「オイルパーム農園と慣習法社会」の素材メモをもとに、一気に書き上げました。

この「オイルパーム農園と慣習法社会」の素材メモは、9月4~5日にかけて集めたものですが、調べているうちに次々と興味深い話が出てきて、なかなか前に進まないのはいつもの通りです。実はもう一本、慣習法社会絡みで別の内容に関する素材メモを作っていたのですが、「オイルパーム農園と慣習法社会」の素材メモだけで量的に十分だったので、今回は使いませんでした。そのうち、この別の素材メモを使って別原稿を書いてみるかもしれません。それにしても、この問題はなかなか奥が深く、しかも各地で頻発していて、目が離せなくなりそうです。

1本目の「モフタル事件」は、前にブログにも書きましたが、実は前回、書こうと思って書かなかったものです。モフタル事件の真相について書かれた英文書のインドネシア語訳が9月に出版されること、しかもインドネシアの歴史愛好者の若者たちがその内容にかなり興味を持っていることを知って、日本でも何が書かれているかについて情報を提供する必要があると思いました。なぜなら、日本側ではこの事件に関する資料は残っておらず、真相は闇に葬られたままだからです。今回書いた内容ですべてが明らかになった訳ではありませんが、少なくとも、真相に迫る第一歩を示すぐらいの情報は出せたのではないかと思います。

この事件に関して、731部隊との関連が示唆されていますが、関連を結論づけるところまでは全くいっていません。ただ、原稿を用意している間に興味深いことがありました。

それは、抗日戦争勝利記念日を祝う中国で、関東軍防疫給水部本部(731部隊)とそのシンガポール支部である南方軍防疫給水部の所属者名簿が公開されたという情報でした。調べると、南方軍防疫給水部の名簿はこの9月に不二出版という会社から出版・販売される予定でした。上述の英文書へのインフォーマントには収容所の現場に居合わせた証人が一人おり、これらの名簿と当時関わった関係軍人の名前とを照合することで、本当に731部隊と関係があったかどうかが見えてくるかもしれません。

私は歴史の専門ではありませんが、インドネシア側がこの事件を知ろうとしている一方で、日本側では全く知らないという状況は好ましくない、せめてこの事件の存在を知り、インドネシア側がその書物から何を知るのか、といったことは知っておいたほうが良いと考えました。

そんなこんなで、今日は少しゆっくり過ごしました。今号の内容は以下の通りです。

オイルパーム農園開発と闘う慣習法社会~中カリマンタン州キニパンの土地紛争~(松井和久)⇒農園開発が進むなかで慣習法社会の存立は益々厳しくなっています。中カリマンタン州で起きたある事件を通して両者の対立の背景と解決の難しさについて松 井が考察しました。

ラサ・サヤン(9)~もし〇〇ならば、あなたはインドネシア人かも~(石川礼子)⇒石川さんは今回、インドネシア人の特徴を色々な人がどんなふうに取り上げているかを豊富な例で示しました。石川さん個人の思うインドネシア人の特徴もあるあるの世界で納得です。

往復書簡-インドネシア映画縦横無尽 第4信:地方舞台の映画の意義(横山裕一)⇒インドネシア映画往復書簡の4回目は、横山さんが地方を舞台とした映画の魅力について語ります。撮る側と撮られる側の関係を考えることでより深く楽しむことができるような気がします。

モフタル事件再考~900人余のロームシャはなぜ死んだのか~(松井和久)⇒日本軍政期に起こったロームシャの大量死とモフタル事件。新説を提示した英文書のインドネシア語版が9月に発刊されます。限られた情報から何が起こっていたのか、松井が推理しました。

今号のカバー写真は、今から18年前、2002年に東カリマンタン州の州都サマリンダを訪れた際、ショッピングモール内で立ち寄った電気店の店員さんです。当時、日本製品の商品名を模倣した中国製の廉価な電化製品がたくさん売られていました。今を時めくハイセンスや長虹なども、この頃はこうした廉価品の「ブランド」名でした。懐かしく思い出されます。



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