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2016年7月30日土曜日

大マラン圏のリンゴの運命

熱帯のインドネシアとは思えない光景をよく見かけます。そう、街中のスーパーや果物店、地方の街道沿いの屋台、村のパサール、どこでもリンゴを見かけるのです。

リンゴは、熱帯の果物ではないはず。もちろんそうです。これらのリンゴの大半は、ニュージーランド、アメリカ、オーストラリア、中国などから輸入されたリンゴなのです。

リンゴは健康によい果物、という話が広まっているためか、インドネシアではリンゴの消費が増えている様子です。

でも、実はインドネシアでもリンゴは作られています。そのほとんどは、東ジャワ州マラン市、バトゥ市、マラン県からなる大マラン圏(Malang Raya)産です。

なかでも、観光地のバトゥ市は、「リンゴの街」と自称するほどで、市内のあちこちにリンゴを形どった休憩所や標識を見ることができます。

でも、日本のリンゴのような大きくて立派なものは見かけません。ほとんどが小さく、垂直に伸びた枝にたくさん実っています。



これだと収穫するのは大変だろうなあと思っていたら、大きく立派にして収穫することはほとんどないという事実がありました。

すなわち、リンゴ畑は観光農園とし、入園料を払った観光客に好きなだけ摘んでもらうのです。観光客が摘んだ後、残った小さなリンゴは加工へまわし、リンゴジュース、リンゴチップス、リンゴサイダーなどになります。



労働力を雇って丁寧に収穫するとなると、労賃コストがかかります。それを節約して観光客に摘んでもらうほうがコストもかからないし、楽です。

リンゴの観光農園には、大型バスで毎日たくさんの観光客がやってきます。国内だけでなく、マレーシアや台湾などからもやってきます。たしかに、東南アジアでリンゴ狩りのできるところなど、ここ以外にほとんどないようにも思えます。

結局、生食用のリンゴのほとんどは輸入リンゴで占められ、それが故に、ここで生食用のリンゴをつくる動機は生まれず、こうして観光農園+加工で十分やっていける、ということになります。

ある意味、経済合理的と言えなくもないのですが、こうなると、安全安心を確保するために手間暇かけるようなことはしなくなるでしょう。マラン市の果物加工業者は、「ほとんどの熱帯果物は化学肥料や農薬の心配をしなくてもいいが、リンゴは例外だ」と言っていました。

折しも、バトゥ市は有機農業を進めており、オレンジやグァバなどの有機認証を進め、生食用として売り出しています。リンゴも有機認証へ向けて手をつけたところですが、現状のままで果たしてうまくいくのか、疑問です。

インドネシア、いや東南アジアでも希少なリンゴ産地であるこの地で、生食用のリンゴが輸入リンゴを駆逐する、といったことはもはや起こりえないのでしょうか。それは、安全安心の果物というカテゴリーにリンゴは入るのだろうか、という問いでもあります。

インドネシアで見かける中国産のふじリンゴ。そうだ、自分が中学生ぐらいだった頃、たくさんの中国からの技術研修生が福島市のリンゴ農家に学びに来ていたっけ。このふじリンゴの技術は、もしかしたら、あの時の福島市で学んだ技術ではないのだろうか。

7月26〜28日、福島市の方々をこの地にお連れし、リンゴ園などをまわりながら、そんなことをふと思い出しました。今回の出張の簡単な活動報告を以下のリンクに書きました。

 福島市の皆さんとマラン市・バトゥ市へ

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