本日5月17日から、マカッサル国際作家フェスティバル2017が始まりました。20日まで開催されますが、私自身は、期間中、3つのセッションでパネラーを務めます。日本からの出席者は私ひとりとなりました。
今回の国際作家フェスティバルのテーマは「多様性」です。昨今のジャカルタ首都特別州知事選挙などを見てお分かりのとおり、インドネシアでも多数勢力が政治的な力を誇示する傾向が危惧されており、そうした状況を踏まえたテーマ設定となりました。
フェスティバル実行委員長である作家のリリ・ユリアンティは、開会イベントで、次のように演説しました。
政治的意思を持った同調圧力が強まっている。権力を狙う政治家がそれを主導している。このフェスティバルには、政府関係者は誰も招待していない。この種の会議では普通、政府高官の臨席を賜り、彼が来るまで開会できない。我々はそうではない。我々は普通の市民である。その市民が互いの違いを尊重し、敬意を示し、違うものの存在を認める。ここは批判的な意見を堂々と言える場である。ここに集まった皆さんにとって、このフェスティバルは自分の家のように感じてもらえるはずのもの。集まった誰もがこのフェスティバルを作って行くのだ。そのうごきはこれから10年も20年も30年も続いていくと信じたい。
力強い演説でした。同調圧力が強まるように見えるインドネシアで、市民がその多様性を身近なところでしなやかに守っていかなければならないことを、確信をもって訴えた演説でした。
そして、彼女の演説は、今の日本に対して、言っているかのように聞こえたのでした。同調圧力に屈するにはまだ早いのではないか。彼女が言うような当たり前の主張を、イデオロギーやレッテル張りを超えて、声をあげていかなければならないのではないか、と。
開会イベントに先立ち、このフェスティバルで発表された、東インドネシア出身の若手作家の作品をまとめた「東から」(Dari Timur)という本の出版記念セッションがありました。
彼らは、フェスティバルの中の「今後の有望作家たち」(Emerging Writers)というセッションで取り上げられた若手作家で、このセッションのスポンサーを、私は5年前から続けています。そのため、彼らの作品集が出版されたことを自分のことのように嬉しく思いました。
「東から」は第1巻と銘打たれており、今後も続けて出版されていくことが期待されます。まだしばらくは、スポンサーを続けていきたいと思いました。
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